拾ってきたオタマジャクシを立派なヒキガエルに育てる方法
拾ってきたオタマジャクシがカエルになり,一年半が経ちました.
これまでの飼育に関するメモを備忘録的に書き連ねようと思います.
余談ですが,カエルの成長と共に僕の撮影スキルもなんとなく上がっているような気がしてなんだかうれしいです.
はじめに
都会に近い街に住んでいる人間にとって最も身近な両性類はヒキガエルではないでしょうか.僕の住んでいる地域も毎年春ごろになると,近所の小学校や公園の池には地域中のヒキガエルたちが集まり,大量の卵塊を残してくれます.子供たちはそれらを家に持ち帰っては親御さんを困らせているようで,虫かごに入ったオタマジャクシを池にリリースしている大人の姿を度々見かけることがあります.
オタマジャクシからカエルを育てるうえで課題となるのは「餌問題」です.本記事では主に仔ガエルが立派な「ガマ」に育つまでに僕が行ったことを紹介してみます.
とっても季節外れな記事ですが,来春以降の誰かのためになれば幸いです.
出会い
2021年の3月末.近所のマンションの広場に浅い水たまりがあり,そこに2匹だけ取り残された(おそらく子供が放置した?)オタマジャクシを見つけました.
それから1ヶ月と少しが経過し,無事にオタマジャクシたちは上陸しました.
上陸後,仔ガエルの餌について
ヒキガエルの上陸時の幼体は巨大な成体のサイズからは想像できないほどに小さく,餌の確保の問題が常に付きまといます.この時期は特に食欲旺盛であり,四六時中餌を求めて歩き回っては捕食をしています.
上陸直後の餌
上陸直後の餌としてお勧めできるのは
・アブラムシ
・トビムシ
・ワラジムシ
です.
僕は今回,トビムシとワラジムシ(ホソワラジムシのふ化直後サイズ)を人工的に殖やすことでこの時期を乗り越えました.
トビムシはそこら中の土壌に生息しているため,土ごと近所の落ち葉などをかき集めて自宅に持ち帰り,適当な飼育ケースにいれました.爆発的な増殖を狙うため,飼育ケース内にはメダカ用の餌を追加して与え,殖えたものを仔ガエルに給餌していきました.
ワラジムシの飼い方も基本的には同じであり,ケース内で発見したチビワラジを給餌していました.
トビムシやワラジムシは飼育ケース内にばら撒いて与えました.観察をして,仔ガエルたちが無事に捕食出来ていることを定期的に確認していました.食べ残したトビムシは飼育ケース内で繁殖して殖えてくれるので,食べ残しを気にする必要はありません.
可能であれば,餌用ショウジョウバエを用意しても良いかもしれませんが,そこまでできる方は本記事を読む必要はない気がするので割愛します.
ある程度育った仔ガエルへの給餌
ある程度カエルが育ってくると
・コオロギ
・レッドローチ
・シロアリ
なども候補として挙がってきます.
僕の場合は,上記の2種(トビムシ・ワラジムシ)に加えて,シロアリなどを捕獲して餌として与え,ある程度の大きさまで育ったのちにイエコオロギのピンヘッドなどに徐々に餌をシフトさせていきました.5センチ程度に育つまではホソワラジムシとイエコオロギをメインに与え,たまに道端で拾った芋虫なども与えていた気がします.
イエコオロギやワラジムシは爬虫類ショップやチャーム(通販サイト)などで購入をしていました.安定して餌を入手できる方法を確立することがカエル飼育で最も大切なことだと思っています.野外で採集して給餌することは楽しく,特に子供にはお勧めですが,負担になりすぎないように適宜餌昆虫は購入をしてみても良いかもしれません.そこまでお金は掛からないです(犬猫比).
下の画像は上陸から2か月程度の頃で,このときには既にコオロギとワラジムシをメインに飼育をしていました.目安としては,両目の間の幅ほどの大きさの餌を与える感覚で良いかと思います.
上陸から3ヶ月ほど経過すると,ある程度しっかりとした大きさにまで成長します.このころからピンセットを用いた人工給餌に挑戦していきました.
ピンセットから餌を食べてくれることでそれぞれの個体の餌の摂食量を把握することができるため,飼育管理が楽に,確実なものになります.ヒキガエルは食欲旺盛で物怖じしない個体が多いため,ピンセットからの給餌には適しています.
今回我が家で上陸した2個体に関してもピンセットやスプーンにはスムーズに適応してくれ,指でつまんだ餌までも食べてくれるようになりました.
「ガマ」っぽくなってからの給餌
4カ月ほど丁寧に育てると仔ガエルたちは体表面にもイボが発達してくるようになり,「ガマ」っぽく育ちます.基本的に餌となるものはこれまでと変わりません.ただ,
・バッタ類
などはこの時期から吐き出すことなく食べるようになるかと思います.
このくらいの大きさまで育ってしまえば神経質に飼育する必要も段々となくなり,心配することは少なくなってきます.口に入りそうなもので動くものには見境なく舌を伸ばして捕食しようとしてくるのもこの頃くらいから激しさを増すかと思います.
このころから人工飼料の給餌を始めました.
僕が利用しているのは「GEX トカゲブレンドフード」です.
世の中には鯉用の餌やウナギ用の餌,さらにはカメ用の餌などの各種人工飼料を使用してヒキガエル飼育をしている方々がいらっしゃいますが,僕の場合は上記のトカゲブレンドを利用しています.コストも大してかかりませんし,何よりこれを他種のカエルに給餌して繁殖まで問題なく辿り着いている先輩方の話も聞いていましたので,特に迷うことなく利用を始めました.カエルに与える際も,水で少しふやかすだけで良いので手間もかかりません(パックマンフードを使っていない理由はここにあります...).しかも原材料が魚粉でないため,匂いも非常に少ないです.
僕の場合はこれ単体ではなく,定期的にコオロギやデュビアなどの生き餌も並行して与えています.バランスよく栄養価を偏らせないためになんとなく行っていることですが,自然環境下では非常に多種多様な生物を食べて生息していることが知られているため,もう少しバリエーションを増やしてみたいなとも考えています.
基本的に必要なことは「栄養価を偏らせないこと」であるため,それ以上は飼育者のエゴに過ぎないとも考えています.栄養価に関しては爬虫・両性類飼育用の各種サプリメントが各社から販売されていますので,それを積極的に利用することも手段の一つだと思います.
飼育環境:隠れ家や飼育ケースなど
飼育環境に関してはレイアウトに使用していたものを簡単にまとめるに留めます.
最も大事なことは「隠れ家の確保」と,「綺麗な水場の用意」だと思っていますのでそれ以外は自分の管理しやすい形にして良いかと思います.糞などを管理しやすいレイアウトが個人的にはお勧めです.
隠れ家については,園芸用ポットなどが利用しやすく,かつ安価に済むかと思います.
上陸してすぐ~3ヶ月程度
・飼育ケース:GEX グラステラリウム ナノキューブ
・水場:ジャムの蓋(溺れないことが大事)
・隠れ家:小さな園芸用ポット
4センチ程度まで育ったら
・飼育ケース:GEX グラステラリウム ナノキューブ
・床材:ハスクチップ
・水場:爬虫類用のもの(下の写真で利用しているもの)
・隠れ家:園芸用ポット・爬虫類用の既製品
7センチ程度まで育ったら
・飼育ケース:レプティケース L RX-420 (幅41cm)
・床材:赤玉土 中粒
・水場:タッパー (100均で浅めの出入りしやすいカエルが出入りしやすいものを確保)
・隠れ家:園芸用ポット
・パネルヒーター:床面積の25%程度を目安に
10センチ程度まで育ったら
・飼育ケース:三晃商会 プラケース パノラマビッグ (幅56cm)
・床材:赤玉土 中粒
・水場:タッパー (100均で浅めの出入りしやすいカエルが出入りしやすいものを確保)
・隠れ家:園芸用ポット
おわりに
オタマジャクシからカエルを飼育することは初めは難易度こそ高いものの,非常に貴重で幸せな経験になるかと思います.たくさんの情報がネット上で収集できるので,適宜取捨選択をして,試行錯誤しながら飼育をすると良いと思います!
おわり